講演会・相談会(相模原市)

日 時 平成19年7月1日(日)13時30分〜16時30分
場 所 相模原市南合同庁舎3階講堂
交 通 小田急線相模大野駅より徒歩約10分
小田急線相模大野駅よりバス、合同庁舎前下車徒歩1分
講演会 日常の生活について
講 師 神奈川県立がんセンター WOC看護師関 宣明様
相談会 会員間の情報交換会・会員小グループ懇談会
展示会 補装具メーカー・販売店による展示・相談
ポスター
講演・相談会(相模原市)のアルバム
会場正面
会場入り口
受付風景
司会者の説明
神奈川県立がんセンター WOC看護師関宣明様の講演風景
講演風景
質疑応答
JOA神奈川役員による装具の説明
所感
 13時30分より、相模原市南合同庁舎3階講堂に於いて、神奈川県立がんセンターの関 宣明WOC看護師に、講演をお願いしました。販売業者の三喜医科器械鰍ウんにご協力を頂き、64名の参加がありました。
「オストメイトの日常生活について」と題して、スライドを見ながらの講演でした。
1.スキンケアについて
私たちオストメイトに大切な皮膚は、本来、表面は弱酸性で、保湿作用も有り、皮脂膜(バリア)で覆われ、細菌・紫外線・化学物質・物理刺激から守られている。しかし、装具を貼ることにより、皮膚のバリア機能が低下する。皮膚を健やかに保つ為には、スキンケアが大切。
基本的なスキンケアの方法は
@ 予防的スキンケア(弱い皮膚を理解して、低下した生理機能を補う)
A 治療的スキンケア(将来トラブルが起きた場合、治すのを促進する)
スキンケアの目的:
@ 皮膚を清潔に保つ
A 乾燥から皮膚を守る
B 刺激物から皮膚を守る
C 物理的刺激から皮膚を守る
泡の利点:
○泡の水溶液が汚れを包んでくれるので、擦る必要が無い。
○擦っても、泡の弾力性で機械的刺激が少ない。
を利用して、皮膚に負担をかけない、愛護的な洗浄(皮膚に一番優しい洗い方は、素手で洗う方法で、泡立ててよく洗う事)をする事。
お湯温度は、40℃以上でも洗浄力は変らない。かえって油脂成分を落としすぎるようになるので、ぬる過ぎず熱すぎずの温度で洗う事。
外出の際、携帯に便利な、洗い流し不要の皮膚に優しい製品も出ている。
2.ストーマケアについて
皮膚保護剤には、粘着作用、吸収作用、緩衝作用、細菌繁殖防止作用がある。
排泄物から皮膚を守り、生理的状態に保つのが保護剤の役目である。
何故、皮膚障害が起きる?原因は?
【排泄物(便・尿・消化液)】
◎排泄物の便は、アルカリ性の消化液や消化酵素を含んでいて、皮膚に対しても消化する能力を持っている。
◎尿・汗は、皮膚がふやける。
◎尿は、時間の経過とともにアルカリ性になる。
【皮膚保護剤や粘着剤に含まれる成分】
皮膚保護剤・粘着剤は、
◎皮膚からの水分蒸発が妨げられ、蒸れる事もある。◎刺激物質でアレルギーを起こす事がある。
【はがす・こする時の機械的刺激】
◎はがしたり、こすったりして、角質もはがされている。
これらの対処方法として、
★ 排泄物を皮膚につけない為とストーマ粘膜に傷をつけない為に、皮膚保護剤に穴を開ける時は、ストーマサイズより4〜6ミリ大きく開ける。
★ 皮膚保護剤の溶けが1cm以内で交換できるように、溶け具合をみて次回の交換日を設定する。
★ 装具をはがす時は、石鹸や剥離剤、サニーナを使いながらはがす。指で皮膚を押さえながら、皮膚保護剤と皮膚の角度が90度以上になるように、やさしく丁寧にはがす。
★ 装具をしっかりと装着し、装具に合った交換間隔を守る。

皮膚障害が起きてしまったら
その原因を追究し、ストーマ外来等で治療的スキンケアをする。
皮膚障害が起きている部位と原因?
@ ストーマ
穴の大きさは適しているか。
A ストーマ近接部 
排泄物の付着によるものが殆どである。皮膚に直接排泄物がついていなくても、皮膚保護剤が溶けている部分は、排泄物が皮膚についているのと同じ事である。良く洗浄していたか。皮膚保護剤の孔は大きすぎないか?保護剤の溶け具合は大きくないか?を追求する。
B 皮膚保護剤貼付部
はがす時の機械的刺激である事が多く、皮膚保護剤、粘着剤によるアレルギーでも起こる。
乱暴にはがしていないか?皮膚保護剤の交換間隔は適切か?良く洗浄しているか?を追求する。 
C 装具隣接部 
皮膚保護剤の変性(性質が変る)により刺激を受けたり、身体の動きによって皮膚保護剤があたったり、皮膚を引っ張りすぎて、皮膚に緊張がかかっても、皮膚障害は起きる。むれて、あせも等でも皮膚障害が起きる。

3.日常生活について
手術前と殆ど変らない生活を送ることが出来る。
【食事】
・何を食べても良い(がんセンターでは、柿はタンニンが含まれているので×と指導)
・ 暴飲暴食をせず、バランスよく摂取する
・ 糖尿病や、高血圧が有る場合には、食事制限を続ける
・ 腸閉塞に注意する(食物繊維を多く含む食品を一度に摂取すると、つまる事が有る)
・ ガスが発生しやすいものや、便の臭いのきつくなる食事を理解しておく
【ガス】
・ ガス抜きフィルター付の装具を使用する
・ ガスが出そうなときは手で押さえる
・ 食事中に空気を飲み込んでいる事がある為、飲み込む際には口を閉じる
・ チューインガム、喫煙を控える
・ ガスが発生しやすい食品を控える(豆類、ラーメン、ごぼう、芋、炭酸飲料など)
【臭い】
・ ストーマ装具には防臭効果があるので、基本的には臭わない
・ ストーマ専用の消臭剤を使用する(捨てる時に臭いが気になる)
・ 便の臭いを強くする食品を控える(ニラ、にんにく、ねぎ類、アスパラガスなど)
・ 便の臭いを抑えるのに効果的な食品を摂取する(ヨーグルト、オレンジジュース、グランベリージュースなど)
【入浴】
・ 入浴の制限は無い
・ コロストミーの場合、装具をはずして入浴できる(水が入ることは無い)
・ 時たま便がでてしまう事がある
・ 公衆浴場の場合は、装具を着けて入浴
【衣服】
・ 通常の服装で問題ない
・ 術直後はゆったりとした服装がよい
・ ストーマの上にベルトが当たる場合にはサスペンダーを使用する
・ 発汗の多い時期には、装具の部分に汗がたまりやすいので、通気性のよい服装にする
・ 水着も着ることが出来る
【運動】
・ 殆どの運動が可能(体をぶつけ合う運動は避ける)
・ スポーツを始める前に医師に相談する
・ いきなりスポーツを始めるのではなく、自分の体力に自信がついたときより行う
・ 装具の交換時期が早まる事がある
・ トイレの場所を確認しておく
【仕事】
・ 外出前に排便を処理しておく
・ 装具を複数携帯、または、職場に置いておく
・ トイレの場所を確認しておく
・ 電車通勤の場合、ストーマを保護する為に装具内に空気を入れておく
【旅行】
・ 予備の装具を多めに持参する
・ 国内、国外ともに制限はない
・ なれない時期の旅行は、トイレと風呂付の部屋を予約
★社会復帰への自信につながる
【性生活】
・ ムードを大切にする
・ 外見上では腹帯で隠したり、便や尿を捨てておく
・ 性機能障害のある場合には、専門外来を紹介する(男性だけでなく、女性にも性機能障害がある)
・ 妊娠を望む場合には、医療者に相談する
【ごみの処理について】
・ 地方自治体で廃棄方法が異なる
・ 便や尿は空にしてから廃棄する
・ 装具を包むビニールの空気は抜いておく
【非常時】
・ 最低でも1週間分の装具交換に使用する物品も入れておく
・ 1年に1回は新しいものに交換しておく
・ 水が無くても洗浄が出来る製品を入れておくのも一つの方法

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更新日:2007年9月9日