医療従事者の方へお願い
オストメイトになられた患者は入院中は暖かい医療関係者の皆様に守られ、安心して療養に専念していますが、退院と同時に、巣立つ小鳥のように、あるいは嵐の海に乗り出す小船のように、大きな不安をかかえて、全く経験のない生活に孤独で臨まなければなりません。
このような新人オストメイトにとって、退院後時のストーマケアの良否が、その後のオストメイトのセルフケアに大きな影響を及ぼす。
したがって、全国で元気に社会復帰している多くの先輩や仲間の存在は、「安心のよりどころ」であります。
「難しい問題に遭遇しているときには、同じ境遇にあるという意識が非常に大きな力を発揮するのです」
(スタンフォード大学精神医学科・D.スパーゲル教授)
私どもの協会は、全国に62の支部を擁し、いつでも新人オストメイトの参加を待っております。
医療施設を退院しようとするオストメイトがありましたら、是非、
公益社団法人日本オストミー協会及びその支部
を紹介して頂ければ幸甚です。
また、公益社団法人日本オストミー協会神奈川支部においては、神奈川県内の各地域で、毎月、医療講演会および相談会、グループワークを開催しております。
医療・福祉・介護関係者の積極的なご参加も期待しておりますので、オストメイトの生の声を聞いて、医療・福祉・介護の現場にお役立て頂きたいと存じます。
お問合せは、神奈川支部事務局まで。
公益社団法人 日本オストミー協会 神奈川支部
オストミービジターに関する活動規程
(趣旨)
第1条
ストーマ造設手術前の患者は、ストーマ造設手術を受けた体験者から直接、体験情報を聴き出すことにより、手術前からストーマ保有状態をほぼ実感し、受容できるようになる。このように心の準備をすることにより、ストーマとそのリハビリテーションを早くから受容して、積極的な自己管理を促進することになる。
一方、医療従事者側では対応困難な心のケアが行われて、オストミービジター(以下、OVという)を通して医療に役立つ詳しい情報が得られる。患者にとっては不安感が和らげ、社会復帰した見本としてのOVを手術後の目標にすることが出来る。
また、実生活において、医療従事者から得られない、社会的資源の適切な情報が入手でき、ストーマ装具や下着の工夫、仕事や家事の工夫、社会生活の要領などの実用的な利用方法が参考となる。
以上の趣旨に基づき、神奈川支部のOV活動に関する規程を作成する。
(目的)
第2条
ストーマならびにそのリハビリテーションについて、情報や精神的支援を求める患者やその家族に対し、ストーマ保有者(以下、オストメイトという)としての有効な体験情報等をもって関わることで、その当事者の理解および納得した個別の情報修得範囲内での精神的ケアを促進させる。その結果として、その当事者や家族はストーマとそのリハビリテーションを理解し、実際的な情報も得て、ストーマリハビリテーションを行う過程において、自信とOVの支援を得て生活の改善が期待できる。
(役割)
第3条
OVは、該当の患者に接することにより、次の役割をしていることを理解する。
1.患者の手術前および手術後の精神的な不安を和らげる。
2.患者の悩みや問題点に理解を示し、正しい情報を提供することにより、安心感を与え、患者の気力を高める
3.患者とその家族の精神的かつ社会的な復帰を助ける。
4.オストメイトになった方々が、自信を再び取り戻せるように支援する。
5.多くの仲間がいることを伝える。
(秘密保持)
第4条
OVは、OVの活動に関連して知り得た情報(以下「秘密情報」という。)を、該当の患者や該当医療機関の事前の承諾なく第三者に開示せず、OVの活動に必要な目的以外に使用しないものとする。
2.前項の秘密情報には、以下の各号に掲げる情報を含まないものとする。
(1)該当の患者や該当医療機関から知得する以前に公知となっていたもの。
(2)該当の患者や該当医療機関から知得する以前に自己が所有していたもの。
(3)該当の患者や該当医療機関から知得した後に、自己の責によらず公知公用となったもの。
(4)正当な権限を有する第三者から、合法的な手段により秘密保持の義務を伴わずに知得したもの。
(5)該当の患者や該当医療機関から機密情報より除外されることが通知された情報。
(6)OV等が独自に創作したもの。
3.第1項の規定にかかわらず、OV等は、法律に基づく強制処分又は裁判所の命令が執行された場合は、当該処分又は命令に定められた範囲において秘密保持の義務を負わないものとする。
(訪問のタイプ)
第5条
OVの訪問のタイプは、国際オストミー協会が策定した日本語版「ビジタートレーニングのガイドライン」(以下、ガイドラインという)に記載された「訪問のタイプ」に基づくもので、次のとおりとする。
1.手術前の病院内訪問
2.手術後の病院内訪問
3.当事者の家庭訪問
4.電話相談
5.支援グループの会合
(連絡窓口)
第6条
OVの活動に当っての連絡窓口は、神奈川支部支部長とする。
(実施要領)
第7条
1.OVの資格認定者は、OVの活動に当り、速やかに神奈川支部長へ「個人情報保護に関する誓約書」を提出しなければならない。
2.OVの活動は、病院からの要請、行政からの要請、家族からの要請等に基づき、必要に応じた訪問を行う。
3.OVは、ガイドラインに基づく講習を受け、公益社団法人日本オストミー協会が認定するOVの資格を得た者がこれに当たる。訪問時には原則的に「オストミービジター資格証」を携行する。
4.OVの訪問は、原則としてストーマ種別も考慮のうえ、最低2名以上で対応する。
5.OVは、活動に伴う交通費は神奈川支部へ実費を請求することができる。
6.OV活動を実施した時は、訪問の内容を別に定める「オストミービジター活動報告書」に記載し、支部長に提出し、事務局で保存する。保存期間は3年とし、保存期間終了後、廃棄処分とする。また、「オストミービジター活動報告書」は、オストメイトのプライバシーを尊重するために厳重管理し、情報の漏洩防止に努める。
7.OVは、ガイドラインに記載された「第4部 基本的な訪問スキル」を遵守するものとする。
8.OVの資格認定有効期間は、5年となっているため、有効期間内に更新のための研修を受講しなければならない。
9.OVの資格を受けた者は、速やかに、次の研修を受講することを推薦する。
(1)ピアサポーター基礎研修
(2)都道府県市町村で実施しているピアサポーター研修
(3)製薬会社等主催のピアサポーター研修
(規程の実施)
附則
この規程は、平成23年5月15日より施行する。
この改定は、平成24年4月 1日より実施する。
以上
|